「狼少年は今日も嘘を重ねる」の感想文

狼少年は今日も嘘を重ねるの感想文です。

多分4か5回目に読み直したときに書いたやつです。

 


何が好きなのかって考えると、やはり「嘘」をついて関係を築いてしまったことに対して切実に向き合っていたことと、外鯨さんの負けヒロインっぷり(後述)の2つが大きい気がします。嘘です、牡丹が可愛いっていうのは確実にあります。3つです。嘘を、つきました。

んで、まず「嘘」をついてきたことに対して切実に向き合っていたという話。なんというか、ズル休みをした次の日の学校への行きにくさというか、先延ばしにしていた問題に向き合うことの難しさ、辛さは日常生活でも多分に感じることのあるもので、かつ乗り越えるべきものなんだと思います。なので、啓太郎が嘘をついてきたことに、その罪悪感に、そのことで傷つけてしまうことに向き合うその姿に強く惹かれたのだと思います。あと、啓太郎が嘘を告白するきっかけが牡丹のあまりにもまっすぐな(無意識の)告白を受けて罪悪感に耐えきれなくなったことなのがとても好きです。嘘をつき続けてきてしまったけれども、事実を告白することで傷つけてしまうとわかっていても、もう牡丹のまっすぐな言葉に嘘がつけなくなってしまったんですね。やっぱり人間、誠実でいたくなってしまうものです。最後は啓太郎が自分の意思で嘘をつくことをやめたということが、とても大切なことだと、感じられるのです。

次に、外鯨さんの負けヒロインっぷりについて。牡丹よりも有利な状況(最初は惚れられていた)にも関わらず、自分のコミュニケーション能力の低さや、そもそも自分の気持ちに気がつくのが遅かったことから、最終的には啓太郎とくっつくことが出来なかった。とはいえ、啓太郎と過ごしたことで過去のトラウマを乗り越えて、恋を知り、失恋を知り、確実に成長したその姿を、私は愛してしまうのです。なんというか、自分が自分のことで精一杯でうろうろしてるうちに負けヒロインになって、それでも精一杯向き合った自分の問題は解決することができたことに美を感じます。

あとは、まあ、牡丹。めちゃくちゃ可愛いんすよね。表情が豊かで、真っ直ぐ感情を向けてきてくれて、言うべきことはちゃんと言ってくれて、人の気持ちをちゃんと考えてくれて、人の魅力を見つけ出すことのできる倉敷牡丹とかいう女、最高。啓太郎が嘘を告白する直前の、牡丹の告白に対してイツキさんが啓太郎のことをボロクソに言うシーンの、イツキさんを否定するわけではなく、それでも自分は自分の見てきた先輩を信じると言うセリフ、牡丹の強さと誠実さと純真さと、魅力が詰まっているんだなぁ。好きなんだなぁ。牡丹、好きだ。